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「グローバルな視点で日本のスタートアップを支える」田村一真-前編-

2008年にフィンランドで始まったグローバルスタートアップ・カンファレンス「Slush」。 2015年には「Slush Asia」が日本でも開催されるようになり、2019年の「Slush Tokyo」には世界中から2日間で6000人が参加しました。そして2019年11月には、より良い未来を描き創る起業家のための非営利コミュニティの形成を目指し、Slush Tokyo運営チームがその名を一新する形で「BARK」が誕生しました。今回はSlush Tokyoでボランティアを経験した後にコアメンバーとして活動し、現在はBARKでコミュニティマネージャーを務める田村一真さんにお話を伺いました。

 

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【スタートアップのイメージを変えたSlush Tokyoとの出会い】

 

━はじめに自己紹介をお願いします!

 

田村:BARKの田村一真です。2017年の3月にSlush Tokyoという、BARKの元となったスタートアップイベントにボランティアとして参加し、同年の5月にコアメンバーに加入しました。Slush Tokyoでは500〜600人ぐらいのボランティアが二日間のイベントを作るんですが、1年目はそのボランティアの統括担当をしていました。2018年の2月のイベントを終えた後、4月から1年間休学し、2019年の2月のイベントに向けてプロダクションという部門でイベントの会場デザインやオペレーションなどの統括運営を行いました。2019年の2月のイベントが終わった後は一旦チームを離れた時期もありましたが、5月ごろにチームに再加入し、Slush Tokyoのリブランディングに携わるなど、コミュニティーマネージャーとして様々な業務を行ってきました。

 

━どうしてSlush Tokyoでボランティアをしようと思ったんですか?

 

田村:僕自身は日本生まれ日本育ちで、今に至るまで留学もしたことがありませんが、父や祖父の影響で、海外の人と電話をするところや彼らが家にいるところを幼い頃から当たり前に見ていました。それがきっかけで、英語を使った活動をしてもっとグローバルな環境になじみたいと思っていたので、大学一年生の時にいろいろなボランティアをやっていて、その内の一つがSlushでした。きっかけは同じ高校だった友達がFacebookにあげていた2016年のSlush Tokyo(前・Slush Asia)の投稿でした。その時は受験期だったから参加できませんでしたが、来年は絶対に参加しようと思っていました。ちなみに、Facebookに投稿をしたその同級生とはその後3年間、Slush Tokyoのコアメンバーとして一緒に活動しました。

 

━他のボランティアと比べてSlushのボランティアのどんなところに魅力を感じましたか?

 

田村:ボランティアにオーナーシップがしっかりあるところです。また、ボランティア同士の関係性がすごくフラットで、参加している人たちの年齢層も興味もバラバラな中、一つのゴールに向かってみんなで活動するところに魅力を感じました。

 

━ボランティアに参加した時からベンチャーやスタートアップに興味があったんですか?

 

田村:ベンチャーには少し興味があったけど、正直その時はあまり視野に入ってなかったです。ただ、ボランティアに参加したことで自分が持っていた固定観念を覆され、興味を持つようになりました。もともと、グローバルな働き方と言ったら海外で働く、起業だったら会社を作ってビジネスをする、みたいなイメージを持っていましたが、スタートアップはあくまで選択肢の一つだと気付かされました。より大切なのは、自分が得た経験から何に気づいて、何を問題視しするか、そしてそれを解決したいという思いからビジネスをすることなんです。

 

【もっと多くの人にSlush Tokyoを届けたい!】

 

━ボランティアを経験した後にコアメンバーに加入したのはどのような思いからですか?

 

田村:このボランティアをする以前の自分のように力を注ぎたいことが見つけられていない若者に対して、一つの選択肢としてこの活動を届けたいと強く思ったからです。このイベントにはスタートアップ のみならず様々なタッチポイントがあるから色々な人に興味を持ってもらえるはずだと感じていました。そんなときに、その当時のメンバーの人から仲間にならないかと声をかけてもらい、加入することになりました。

 

━加入してすぐにシリコンバレーの視察に行ったそうですが、どんな経緯で行くことになったんですか?

 

田村:Slush Tokyoがグローバルイベントである以上、それを運営する自分たちもグローバルというものを知らなければならないということで、8月に他のコアメンバー3人と一緒にシリコンバレーに1週間行くことになりました。

 

シリコンバレーではどんなことをしましたか?

 

田村:シリコンバレーのファウンダーや、彼らのオフィスで働いている人たちに話を聞きました。その時はスタートアップについて全然理解していなかったので彼らが話す言葉も知らないものばかりで、何を話してるのか理解するのに必死でした。でもこの経験が後々、こういうことを若い人にもっと知ってほしい、という思いにつながりました。だから今でも良い経験だったと思いますし、あれから3年経ったシリコンバレーはまた全然違った環境になっていると思うので、行きたいと思っています。

 

━海外の国に比べて日本に不足していることは何か感じましたか?

 

田村:2017年の時点で感じたのは情報量の違いですね。日本人のファウンダーが日本でスタートアップをしようとして、ウェブサイトで日本語で調べると少ない情報しか出てきませんが、それを英語で調べると情報量がすごく増える。そこに情報格差を感じましたね。

 

シリコンバレー視察で田村さん自身に何か意識の変化はありましたか?

 

田村:シリコンバレーに行った時は、知らない情報で頭がいっぱいでホテルに帰るとくたくたになっていました。自分が思っていた以上にスタートアップの世界が広くて、どこから手をつけていいのかわからない、そんな感覚でした。ただ、彼らの話や思いにすごく刺激を受けて、自分がやらないとな、という思いが強くなりました。また、グローバルな視点において現地に行くことの大切さを学びました。彼らの環境の変化スピードはすごく早いです。今話していることは、来月には違うかもしれない。それくらいの変化の中で生きているように感じました。日本でニュースを見ているだけじゃなく、現地に行ってそこにいる人たちに話を聞くことをもっとしないといけないと思いました。

 

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━コアメンバーになってからもSlush以外のイベントやボランティアに参加していたそうですね。

 

田村:Slush Tokyoではグローバルをベースにイベントをやっていますが、日本のスタートアップで何が起こっているのかを理解するためにも、他のイベントに参加したり、運営としてボランティアに参加したりしました。その際に、日本に興味がある、または日本で何かを始めたいと考えている海外の方が参加できる機会が少なく、日本人だけのスタートアップしか生まれないと感じました。1つの例ですが、通訳をつけているところもありましたが、登壇者の話を直接聞いたり、そこでネットワーキングをしたりなどの対話を生むことがイベントでは大切だと思うので、通訳を挟むと壁ができてしまうという学びがありました。

 

━Slush Tokyoで対話を増やすために工夫していることはありますか?

 

田村:Slush Tokyoのステージにはスタートアップ創業者の方々が世界中から参加をしています。その中で、登壇者と参加者の関係性をフラットなものにすることです。例えば、大きなステージだけでなく、参加者が直接登壇者に質問をできるようなステージを作りました。登壇者も数年前にはオーディエンスの1人だったと思います。参加者はこれから挑戦する創業者として、将来ステージに立つ可能性があると思います。それを踏まえ、両者がフラットな関係性になるように工夫していました。これには登壇者がただの憧れの存在にならないようにする意味もあります。

 

━2018年のSlush Tokyoを準備する際にチーム内で衝突などはありましたか?

 

田村:たくさんありましたね(笑)例えば、2019年のイベントに向けてプロダクション担当を務めていた時期です。チームとして、その年のテーマとして表現したいアイデアがある一方で、それを空間としてつくるデザイナーさんとのコミュニケーションも重要です。自分たちが作りたいものと、デザイナーさんが作るものに表現の仕方の違いが出てしまうことはあります。自分たちが伝えたい思いをどうやって視覚的なものにできるか、イベントの2〜3週間前まで議論を重ねました。この時、スタートアップに例えると、プロダクトアイデアを出すメンバーと、実際に物作りをするエンジニアやデザイナーとの間のコミュニケーションがとても大切なんだなと思いました。

 

 

後編に続く