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「本当の安定はチャレンジし続けることで得られる」高田優哉

今回は、企業とユーザーをつなげ、顧客体験を最適化するコミュニティタッチツール「commmune(コミューン)」の開発、運営を行うコミューン株式会社の共同創業者であり、代表取締役CEOを務める高田優哉さんにお話を伺いました。

 

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高田優哉 コミューン株式会社 共同創業者 / 代表取締役CEO

プロフィール:パリ農工大学留学を経て東京大学農学部卒業。卒業後ボストンコンサルティンググループに入社し、東京、ロサンゼルス、上海オフィスで戦略コンサルティング業務に従事。リードコンサルタントとして活躍後退職し、コミューン株式会社を共同創業。

 

岩手県で生まれ育ち、国連を目指して東大へ】

 

━中学生の頃から世界を変えたいと考えていたそうですが、そのように考えるようになったきっかけは何でしたか?

 

高田:中学二年生くらいの時、地球温暖化防止のための植樹が社会貢献活動としてムーブメントになっていて、私の中学校でも一口500円の募金を生徒から集めて、内モンゴルの現地の団体に寄付したんです。その時に、募金先の土地では人件費や苗自体の価格が安いため、500円で植樹できる量が日本で行う場合の100倍くらいだと知りました。私は日本の中ではかなり田舎の出身なので、それまで自分のことは恵まれていないと思っていました。でもその話を聞いて、自分は恵まれている環境の中で相対的に恵まれていないグループに属しているだけで、世界全体で見たらすごく恵まれている方なんだと思ったんです。そして、私たちがお腹いっぱいご飯を食べている一方で、貧しくてご飯を十分に食べることができない人々がいることに違和感を感じ、自分がなんとかしないといけないと思ったんです。

 

━それで将来は国連で働こうと決めたんですね。

 

高田:まだ中学生だったので大した知識もなくて、とりあえず国連に行くしかないと思ったんです。国連は英語以外にもう一言語話せないといけないと聞いて、英語以外の言語も学べる高校に進学し、日本から国連に行くためにはまずは国家公務員になることが一番確実だと知って、東大を目指そうと思いました。

 

━国連で働くという夢に向かってひたすら進んでいたんですね。大学では何を専攻していましたか?

 

高田:国連に行くなら国際関係論を学ぶべきだと思って東大の文科三類に入ったんですが、国際関係論を学べば「国際人としての教養」は身につくかもしれないけど、その上で求められる専門性は身につかないんですよね。そこで他の分野を考えた時に、経済にすごく興味がありました。ただ、いわゆる純粋なエコノミストとして国連で働くほど頭は良くないと思ったので、農業経済を選びました。多くの国においてはGDPの中で第一産業が占める割合がすごく高いので、国際機関の中で農業経済はすごくプレゼンスがあるんです。

 

━夢を追いかける過程で、自分のモチベーションが削がれるようなことはありませんでしたか?

 

高田:大学に入るまではありました。僕が育ったのは岩手県の沿岸にある人口4000人くらいの村で、学年の半分以上が工業高校に行くようなところだったので、中高の時は宇宙人のような、ちょっと何言ってるかわからない奴だと思われてましたね。

 

━そんな中、どうやってその意思の強さを培ってきたのでしょうか?

 

高田:こういう出自なので、大学に入るまで自分より優秀な人に会ってないんです。だから小国の王みたいな感じだったんですが、それがいい方に働いて自分は特別であるという感覚が育ってました。その感覚がさらに強化された理由の一つは、中学一年生くらいの時に親父がリストラにあったことです。その時に、結局他者に委ねられた安定というのは虚像で、自分がチャレンジし続けることでしか安定は得られないのだと悟りました。もう一つは、大学一年生の冬に地元が被災したことです。友達や知り合いが亡くなって、死というものが初めて身近になり、自分もいつ死ぬかわからないんだから、やりたいことをやったほうがいいのではないかと強く思うようになりました。

 

【ターニングポイントになったOECDでのインターン

 

━大学4年時にはOECDインターンをされたんですね。

 

高田:国際機関でのインターンって基本的には修士に所属してないといけないんですが、フランスのグランゼコールという教育機関では日本での4年生は修士1年目になると聞き、まずフランスの大学に留学して、そこでもらった学生証を手にしてOECDインターンに応募しました。

 

━帰国後はどんな道に進まれたんですか?

 

高田:OECDインターンに行ってから、初めて人生が予定通りに行かなくなりました。大学4年生の12月末に日本に帰ってきたんですけど、インターンを経てそもそも国連に行きたくなくなってしまったんです。卒業後に進学予定だった東大の院はマスターが必要だから行こうと思っていただけだったので、どうしようかと思っていた時に相談した友達がボストンコンサルティングに内定していて、その友達の紹介で内定が決まりました。そのままBCGで4年ほど働き、起業して今に至ります。

 

OECDでのインターンを経て、自分の中で人生をかけて追いかけてきたものが崩れた時はどういう心境でしたか?

 

高田:HOWが変わっただけで別に登ってる山は変わらないから、HOWとしてこれまで持っていた仮説がずれていたことを理解したという感じでした。だから自己否定はしなかったんですが、これまでずっとそれを目掛けてやってきたことが、実はそうでもなかったと分かってすごく悩みましたね。

 

━そこでビジネスに興味を持ったんですね。

 

高田:社会を良くすることの中でどうしてもお金にならないことってあるんですよ。例えば、経済効率を突き詰めると戦争はやったほうがいいとも言える一方で、平和や人の幸せの観点から見ると、戦争はないほうがいい。あるいは、地球温暖化のような中長期的な問題。こういった経済合理では解決できない問題や、経済合理を考えると中長期的になる話は国連とかにはすごく向いてるんです。でも私個人としてはそっちにあまりパッションを持てなかったので、じゃあビジネスやろうと思ったんです。

 

【様々な壁にぶつかったBCG時代】

 

━卒業後はBCGに入社されて、日本、上海、LAのオフィスを経験されていますね。待遇の違いや言語の壁をどのように乗り越えたのでしょうか?

 

高田:上海とロサンゼルスは結構辛かったですね。日本支社はアソシエイトがパートナーに「全然何言ってるか分からないです」って言える環境だったんですが、上海はすごく上下関係が厳しかったんですよ。私が最初にプロジェクトリーダーに「お願いされたこれなんですけど、ちょっとやる意味がわからないので僕なりに考えてみたんですけど、どうですか?」って言ったらブチ切れられてそのプロジェクトから外されて、別のプロジェクトに入れてもらえないか他のパートナーを回ったりしました。

 

高田:その後日本で1年くらい働いたあとに、ロサンゼルスに8〜9ヶ月くらい行きました。ロサンゼルスでは実力や言葉の壁が辛かったですね。コンサルという仕事は、クライアントに対しては言葉を売るし、チーム内では言葉で戦う商売なので、ちょっとでも遅れると価値が出ないんです。誰もやりたがらないけど誰かがやらないといけない、そういう仕事を積極的にやっていく中で徐々にチームのメンバーの信頼を得て、話を聞いてもらえるようになりました。

 

━上海で感じた文化の違いやLAで感じた言葉の壁は、起業してからも活きていますか?

 

高田:中高大、そしてBCGJapanでは自分の価値がそんなに出てないと感じたり、その場所から逃げたいと思ったりしたことがなかったので、そう思えたことがよかったと思います。起業ってすごいプレッシャーがかかるんですけど、そういうプレッシャーに対して、毎日枕濡らしてたあの時よりましだなと思えるのはすごく大きいですね。

 

【この人とだったら絶対成功すると思えるけど、失敗しても後悔ないと思える】

 

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━共同創業者である橋本さんとはどのように出会ったんですか?

 

高田:橋本とは大学で同じサークルに入ってたんですけど、大学の時は特に強いつながりはありませんでした。でも社会人になった時に、起業しようと思っている人が少なかったので自然とそういう話をするようになりました。あとは2人とも同じタイミングでアメリカで働いていたので、アメリカで仲良くなって急接近しました。

 

高田:その当時、私も橋本もなんかちょっと終わった感があったんです。日本人で外資の日本支社に入ってUSのチケットを手に入れる人って、何年かに1人しかいないくらい少ないんですよ。さらにそこからUSに居続けるという選択肢を頑張って取るとなると、グリーンカードを取ることになり、数年間その会社にでコミットしないといけなります。それか、来てすぐだけどこのタイミングで次のキャリアを考えるか。どっちにするか今決めないといけない、というタイミングが2人ともちょうど同じ時期にあって、橋本も私もあんまりアンパイには行きたくないと思っていたんです。

 

━それで橋本さんと共に起業されたんですね。高田さんがCEOで橋本さんがCOOという役決めに至った経緯があれば教えてください。

 

高田:何が得意かだと思います。僕はどっちかっていうとコトに向かうタイプなんですが、橋本はどっちかっていうとヒトに向かうタイプです。そして、会社というものが会社として存続するためにあるのではなく、何かをなすためにある以上、経営上の意思決定はコトに基づいて行われるべきなんです。そうしないと、痛みを伴うような決断ができないので。むしろチームのパフォーマンスの最大化は私は得意じゃないので、オペレーショナルな部分は橋本さんに任せています。

 

━高田さんは、CEOに求められる能力にはどのようなものがあると思いますか?

 

高田:一つ目はまず登る山を決めることで、二つ目は登り方をざっくり決めることです。そこまで決めれば後はみんながやってくれるので。三つ目は痛みを伴うものを含めて、必ずしも合理的でなくても、正しい意思決定をすることです。何人が考えても同じようになるなら私がいる意味はないので、例えば意見が二分されるようなものとか、大多数が反対してるけど私はこっちがいいと思う時とかに、正しい判断ができる必要があると思います。

 

━起業の仲間や、採用を決めるときに大事にしていることはありますか?

 

高田:いわゆる経営メンバーと、その下のマネージャー・ダイレクターレベル、メンバーレベルの3つに分かれます。経営メンバーは、こいつとだったら絶対成功すると思えるけど、同時にこいつとだったら失敗しても後悔ないと思える、ということが僕はすごく大事だと思っています。前者だけだと、スキルだけあるやつとか価値観合わないけどタイミングだけ合ったやつを選んじゃうんです。逆に後者だけだと、仲は良いけど強みが自分と変わらない人を選んでしまいがちです。僕と橋本は全然タイプが違うし、役割が完全に分かれてる一方で、大学の同期でもあるので、これでうまくいかなかったらしょうがないなと思いました。

 

高田:マネージャーやダイレクターのレベルではカルチャーフィットも大事にしてますが、それに加えて2つ見ていることがあります。一つは我々経営陣の役割を奪えるかどうか、もう一つはチームのパフォーマンスを最大化できるかです。これは当たり前に聞こえるんですけど、意外と世の中の人って、メンバーのパフォーマンスを100から120にするっていうのができてないんです。

 

高田:メンバーレベルでは、当社が決めてるバリューにどれだけそっているかがすごく大事だと思います。スキルとかはそんなに見てません。なぜかというと、メンバーレベルだと毎日話したりするわけではないので、経営陣からするとある程度自立駆動型であってもらう必要があるんです。

 

【チャレンジし続けることでやりたいことができるようになる】

 

━最近は起業に興味がある学生が増えて来ていますが、それについてはどう思われますか?

 

高田:素晴らしいと思います。会社勤めをしてから起業しようとすると、手放さなきゃいけないものが大きくなるんですよね。さらに、結婚や子育て、親御さんの介護とか、年を重ねるほどいろんなことが出てきてどんどんがんじがらめになっちゃうんです。だから、モチベーションがある人は今すぐやるべきだと思います。

 

━起業はゴールではなくあくまで手段の一つですが、それでも起業はするべきだと思いますか?

 

高田:起業が手段でしかないとすると、つまり色々なものの手段であっていいと思うんです。世界を変えるためだったり、社会経験としてだったり、色々な理由や興味があると思うんですけど、それを満たすためだったら全然やったらいいんじゃないかと思います。学ぶこともすごく多いですし、学生の時に起業しておくことでネガティブなことは一切ないと思いますよ。

 

━今の日本の若者に向けてメッセージはありますか?

 

高田:昔の自分に対してもなんですけど、もっとチャレンジした方がいいと思います。理由は二つあって、一つは自分自身の経験として、楽じゃない方を選び続けたことでやりたいことができるようになったからです。今のタイミングで無難な選択肢とか安定した職業を選ぶくらいだったら、やりたいことをやった方がいいんじゃないかと思います。二つ目は、日本って生産年齢人口の割合がダントツに少ないんですね。それってつまり、若手がすごく貴重ってことなんですよね。社会情景から考えると今の若者ってめちゃめちゃ有利なんですよ。

 

━最後に、高田さんが今後の人生をどのように思い描いているのか教えてください。

 

高田:今の会社で「どこまでやったら終わり」とかはないと思ってるので、事業については意外と粛々とやっていこうっていう感じです。ただ、人生に関しては、昔は自分が世界を云々とか考えてたんですけど、そこそこの歳になった今は、後進の育成をどうしていくかが大事だと思っています。会社という意味合いでは、メンバーがコミューンで一生懸命頑張った結果、力をつけて、次のキャリアや起業に繋げられるようになるといいなと思います。



ありがとうございました!

 

「次世代のリーダーを育てる教授」キム・アレン -後編-

 

未来のリーダーとしての学生】

 

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ICUの教授として、今回のパンデミックで教育の意味や価値は変わったと思いますか?

 

大学の意味は変わっていないと思います。私たちは今、オンライン教育が行われている、これまでとは違った環境に置かれています。そんな中で私たちは、いかにメリットを最大化し、それに伴うデメリットを減らすか、ということに焦点を当てています。私たちが行っているリベラルアーツ教育の目的は、あらゆるタイプの人間の探究心の基盤となる知性を養うことです。将来に備え、当たり前を疑うといった必要不可欠な批判的思考力を学生に教えようとしています。名門大学が数多くある日本には、優秀な学生が多くいる一方で、その人数は減少傾向にあり、大学はより少ない母数から生徒を集めなければなりません。ただ、学生に多くの機会を提供するICUは将来の複雑な状況に立ち向かう準備を可能にするリベラルアーツ教育の先頭に立ち、長い間このような取り組みを続けてきたため、とても有利な立場にあると思います。ICU生の多くが、今後確実にやってくる急速な変化を受け入れる準備ができていないのではないかと私は思います。

 

起業家精神は教養教育の一環であるべきだと思いますか?

 

そうですね。リベラルアーツ教育は問題を「どのように」解決するかを考えるだけでなく、「どの」問題を「なぜ」解決するのかを問う訓練であり、同時にリーダーシップを発揮し、奉仕する人生を歩むための準備でもあります。リベラルアーツ教育では、様々な学問を横断し課題やアイデア、方法を探究したり、世界中の問題に対して討論をして解決策を提供したりしなければなりませんが、それこそが企業家精神なのではないかと思います。

 

つまり、企業家精神の定義は単に「会社を立ち上げること」だけではなく、課題を発見し、それを解決することなのです。

 

どんな事業も人間のニーズを満たすサービスや商品を提供しています。リベラルアーツ教育はそのように物事の繋がりを捉えることができる、持続可能性をめぐる重大な問題に取り組むことができる、未来のリーダーになるための教育であり、これこそが起業家精神と教育との関係です。私はICU生に将来リーダーになって欲しいからこそ、この企業家精神を促進しようとしています。昨年12月、ENTREPでは、元googleのディレクターの方をお招きして、学生たちがどのようにこの分野を体験し、理解しているのか、事例を紹介していただきました。このように、教育とビジネスは、将来的には相互に深い関わりを持つようになっていくと思います。そのため学生は、様々な人がどんな課題を見つけ、どんなイノベーションを起こし、そしてどんなチャンスを掴んでいるのか、知る必要があります。

 

━学生が最も身につけるべきスキルは何だと思いますか?

 

共感、この一言に尽きます。共感とは、人が何を求めてるのか、何を必要としているかを問うこと、知ることで、これは成功した起業家や教師、私の母に共通する特徴です。他人の感情を理解し共有する能力こそが共感力という必要不可欠なスキルなのです。

  

この能力を通して、誰かに自分の考えを共有したり、感謝の気持ちや人への関心を示すことができます。励ましたり、支えたりすることだってできます。この「共感」というものには台本はありませんが、これらはすべての成功の基礎となるスキルです。新しいサービスや製品を提供する時、ユーザーが製品やサービスに何を求め、何を感じているのかを理解していなければ、その起業家は100%失敗するでしょう。だからエンドユーザーが何を求めているのかを理解する必要があるのです。結局のところ、私が尊敬するのはそういう共感力が高い人なのです。

 

成功の定義】

 

━あなたにとって成功って何ですか?

  

神様が与えてくださった才能を全うすることだと思います。人があなたを誇りに思うのは、あなたが自分自身、満足している時です。神様が喜ばれるのは、あなたが人生における希望と光を見つけた時です。あなたが本当に幸せを感じるのは、自分の才能を開花させ、他を助け、世界を良い場所にしようとする時です。こういった幸せこそが、成功への鍵なのです。あなたが築き上げたものや、稼いできたお金の量ではなく、あなたが与える社会への良い影響、それが根本的に成功に結びついており、成功、お金、全てに繋がるのです。

 

同時に、あなたがこの世を去るとき後世に何を残すか、これも成功の定義において考慮すべきことです。私たちは、マザーテレサやスティージョブズ、他にも亡くなった人を今でも称賛したり、思ったりします。彼らがこの世に存在していたからこそ、世界は今より良い場所になっている。間接的ではありますが、成功ってこういうことなのではないかと思います。

 

━教授として、あなたは今「成功」していると思いますか。

 

いいえ。私は毎日成功するために努力をしていますし、決して現状に満足していません。私ができること、貢献できることは、まだまだたくさんあると思っています。例えば、私はENTREPの皆さんと協力して、第一回目のイベントを主催しましたよね。私はあのような場、機会が必要だと思っていましたし、学生の皆さんもそれに対しての熱、エネルギーを持っていました。頭が良く、国際的な広い視野を持っている人は、社会にプラスの変化をもたらす人材になるべきだと思いますし、自分がやってきたことに満足している人は、それ以降イノベーションで起こせないでしょう。そういう意味では、満足せず、常にゴールに向かって邁進しているつもりです。

 

止まらず常に動き続けたり、太陽の沈む瞬間を追ったりするじゃないですか。まさにそれが今の私だと思います。命は本当に素敵なプレゼントであり宝物だと思います。自分自身だけではなく、差別されていたり迫害されていたり、経済的格差に苦しんでいる人たち、そう言った人たちに何を与えられるか。誰かの問題解決を少しでも手伝いたい、これは私が大学教授に感じるやりがいでもあります。自分の声や行動が世界をよくできればと思うし、あなたたちも成功して欲しいなと思います。成功したらぜひ素敵なレストランで神戸牛を御馳走してくださいね(笑)

  

ありがとうございました!

「次世代のリーダーを育てる教授」キム・アレン -前編-

 

キム・アレン教授は、米国生まれの韓国系2世。AT&Tの管理職で様々な分野に携わった後、自分の夢を実現するため学究的世界に飛び込んだ。カリフォルニア大学バークレー校で修士号、カリフォルニア大学アーバイン校で博士号を取得し、現在は日本の国際基督教大学社会学の准教授を務めている

 

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【キム・アレン教授の大学生活】

 

━カリフォルニア大学バークレー校での学生時代、どのような活動をしていましたか?

 

宗教団体へ参加したほか、弁護士事務所でインターン生として検察官の下で働き、実際にサンフランシスコで裁判に立ち会ったりもしました。大学院や法科大学院への進学も考えていたので、とてもいい経験になりました。

  

しかし同時に、より多くの団体に所属したり、専門的な会議に参加すればよかったかもしれない、と今になって思うこともあります。実際、ベイエリアは人脈作りの機会という意味では非常に充実していたので、様々な分野で良いメンターを見つけることができれば他の道や機会も開けていたかも知れません。

 

━今は社会学の博士号を持っていらっしゃるとのことですが、当時は法学を専攻されていたのですか?

 

そうですね、もっと言うと実は私、大学院に行くまで社会学の授業を受けたことがなくて、倫理学と東アジア研究をダブルで専攻していました。他にも様々な科目を取っていましたが、私は法学部専攻で大学院に進むことを考えていました。結局、方向性を変えることになったのですが、長い目で見ればその方が自分にとっては良かったのかもしれません。

 

私の学生時代、シリコンバレーは熱く盛り上がっていて、求人も絶好調でした。そこで、リーダーシップ開発に焦点を当てたフルタイムの仕事に出会い、AT&Tで働くことを選びました。マネジメントスキルという点では、この選択が私を様々な分野へと導き、人として成長できる絶好の機会になりました。

 

企業から学界へ】

 

━在学中に法の道を目指していたとのことですが、卒業後、どういった経緯でAT&Tに入社されたのですか?

 

私の両親はサンフランシスコで、AT&Tの修理工場の向かいにあるレストランを経営していたのですが、そこにはいつもAT&Tの作業員やマネージャーがいて、私は機会を見つけては話しかけるようにしていました。その後、大学で採用活動をしているときに、彼らの名刺を集めることで会社のことを詳しく知りました。面接の日、彼らは私がAT&Tのマネージャーを知っていることに驚いていましたが、それはすべて私が彼らと話す機会を得たからこその話です。当時は経済的にもうまくいっていなかったということもあり、将来性のあるマネジメント能力がなければ採用してもらえなかったため、最終的には面接でうまくいかなければならなかったのです。

 

結局何が言いたいかというと、運や機会は主体性によって手繰り寄せることができる、ということです。もしかしたら、私はただ運が良かっただけかも知れません。でも、好奇心を持って行動するという主体性によって生み出される、チャンスとか運って、そういうものだと思います。

 

━大企業に勤めている最中で、教育者の道に進もうと思ったのはなぜですか?

 

社会人になって1年間休職し、韓国でティーチング・アシスタントシップをしたのですが、そこで私と同じような境遇の先生方に出会えて元気と感動をもらいました。そして、韓国で中学生に英語を教えながら、大学院に出願し、幸いにも社会学の大学院プログラムに合格しました。

 

でも思い返してみると、私は大学生の頃、教授になるという野心も自信も興味もありませんでした。出会った教授があまりにも素晴らしい方々だったので、自分には全く手が届かない、自分には知的に無理だと思っていました。

 

友人の一人とオフィスアワーに行くまで、教授になるなんてことは一切考えたことがありませんでした。私はいつも、授業内で優秀だったリンダという学生とオフィスアワー中にアジアアメリカ研究の教授とおしゃべりをしにいっていました。教授は彼女が一番頭が良いということを知っていたので、ある日私たちが教授室で座っていた時に、「あなたは卒業して博士号を取ったら、教授になって教えることができる」といっていました。その時初めて、「教授になる」という可能性が脳裏を過ぎったのです。その時の会話は今でもはっきり覚えている程、私の人生を変えるもので、彼は私に「信念」という種を植えつけてくれました。それがきっかけで「自分はここで何をしているのだろう」と思うようになり、休職して大学院を志願したのです。

 

━博士課程の中で、苦労したことや挫折したことはありますか?

 

苦しんだ時期もありましたし、大学院が本当に嫌になった時期もありました。修士課程の後、十分な給料がもらえ、二週間の休暇がある仕事をなぜやめてしまったのか、自問自答しターゲット(アメリカの大手スーパー)の管理職に応募するほどでした。ありがたいことにそれは不採用という結果だったのですが、それだけ辛かったのです。私の身内には、教授だった人も、大学院に行った人もいなくて、ネットワーキングや大学院についてしっかりアドバイスしてくれる人もいませんでした。そういう意味で自分一人だけだったので、大学院にいくということは心理的にも負担になっていて、自分の心地よいところに戻りたいなとたびたび思うのでした。

 

自信喪失であり、自分の判断が正しいのかどうかという疑問であったり、そういうのが自分にとっての課題でした。それでも、大学院に入って数年が経ち、自分の語彙力の変化を実感しました。話したり、テストをしたり、話し合ったりすることで、自分の言葉の変化を実感し、それがとても力になっていると感じました。いろいろな面白い人との会話に入ることができたので、それは大学院に通うことの潜在的機能だったのかも知れません。ボキャブラリーが飛躍的に増えたというのは、教育の力だったと思います。

 

【コンフォートゾーンから踏み出した一歩】

 

━振り返ってみて、大学時代に身につけておいてよかったスキルはありますか?

 

後になって気づいたことですが、振り返ってみると私は、いつも自分のコンフォートゾーン(居心地が良いと感じる心理領域)から抜け出そうとしていたような気がします。やはり私は未知の領域に足を踏み入れた時の、程よい不安や心配に快感を覚える人間でした。

 

コンフォートゾーンから踏み出すことは、結局は自分らしくある、ということでもあると思っています。好奇心を持って、人に出会い、相手のバックグラウンドに関わらずその人から学ぼうとする姿勢は、自分自身のレベルを底上げし、いろんな可能性を想像したり、良きメンターからアドバイスを求めたりすることに繋がります。これらはどれも、学生が自分の将来について、より多くの可能性を見出すのにも役立つと思います。

 

━コンフォートゾーンから踏み出した具体的なエピソードはありますか?

 

そうですね、色々思い浮かびます。例えば、移民としての生活は、決して快適なものではありませんでした。私の両親は1972年に移民として渡米したのですが、英語がほとんど話せず、全て一から始めなければなりませんでした。父は軍の基地で皿洗いをしていましたが、母は資格を持っていながらもアメリカでは看護師にはなれなかったため、生き残るためには起業の道を目指さなければならず、サンドイッチを作ったり料理していました。

 

常日頃から困難に立ち向かっていると、何があっても折れない心とやり抜く力とが身につきます。移民であることで不利な立場に置かれることはありますが、これらの困難は将来衝突するほとんどの壁に対処する力の源になるということを考えれば、恵でもあるのです。

 

人脈を広げることができて良かったというエピソードはありますか?

 

もちろん。ここでは三人紹介します。

 

幼少期に出会ったイエズス会の神父が私の形成や価値観に大きな影響を与えてくれました。彼が聖フランシスコの言葉を引用して「わたしたちは、自ら与えることによって受ける」、こう言ったのを覚えています。与えるとき、人を助けるとき、そして神が与えてくださった賜物を生き抜くとき、人間は最も生きていると感じる、という意味ですが、私の人生の多くのケースではいつもそうだったのだと気付かされました。与えるとき、そのはるかに多くのものを受け取ることができます。ビジネスの世界では学ぶ機会はなかなかありませんが、それでもこれは、社会に浸透している基本的な法則だと思います。

 

2人目は、製薬会社のイーライリリーの営業職に就くことになったビジネス専攻の学生でした。彼とは図書館で知り合い、仕事の話をしていました。その時、彼は面接で印象的に見せる方法や、取引を成立させる方法について、しっかりとしたアドバイスをしてくれました。そして、その会話を通して、他の人に自分を雇ってもらうためには、いかに賢く、戦略的でなければならないかということに、私ははっとさせられました。彼の名前は忘れてしまいましたが、興味や好奇心さえあれば、人との何気ない会話の中からも本質的で有益な情報を得ることができることがあるのです。

 

3人目は、私の母でしょう。母は、いろいろな意味で私にとって起業家の鏡だと思います。起業家というと、イーロン・マスクスティーブ・ジョブズ、そして本当に偉大な人たちのことを思い浮かべる人がほとんどですが、彼らのレベルになるには「クレイジー」でなければなりません。私の母は大学の学位は持っていませんが、それでも常識のある人で、起業の波が来る前に起業をしていました。今では起業があたかも新しいことであるかのように思われていますが、それはもうずっと前からあったものなのです。それは人々にとって生き延びるためのものでしたし、私にとって母の話は、いろいろな意味で説得力があります。 

 

人を知り、新しい価値観や規範を知ることで、他者の資源を自分のものとして吸収できます。社会学的な研究では、似たような人の集まりや組織ほど内向きになり、ダイバーシティのある集団ほど外向きになる、ということが明らかにされています。これこそがダイバーシティの力です。そういった意味で、社会が急速に変化する中で適応し、調整していくということを私は学生に薦めます。

 

━自律して行動したり、自信をつけたりするための具体的なステップはあると思いますか?

 

「他の人が遊んでいる間に計画を立てなさい。他の人が眠っている間に勉強しなさい。他の人が先延ばしにしている間に決断しなさい。そして、他の人が白昼夢を見ている間に準備をしなさい。」私が出会った、ウィリアム・アーサーの「成功の材料」に関する名言です。私はこれらの5つを読んだとき、本当にその通りだと思いました。自信や正しい感情を持つのではなく、信じること、計画すること、勉強すること、決めること、準備すること。これら5つの行動は、自分のビジョンに対して着実にに1%進むことを可能にします。

 

正直、ずっと同じ仕事を続ける人はなかなかいないので、自分に100%合った仕事を見つける必要はないでしょう。むしろ、2つのスキルを身に付けるべきです。スキルを一つだけ持っていても、現状としてこの頃多く見られるように、仕事を失う可能性があります。しかし、2つ以上の専門的なスキルや知識を持っていれば、会社や企業にとってより価値のある存在になります。残念ながら、学校ではそういったことを学生に教えることはありません。それが現実です。だからこそ、人生におけるメンターを見つけることはとても大事だと考えています。

 

 

後編に続く

"A professor cultivating future leaders" Kim Allen vol.2

【Students as future leaders】

 

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-As a professor at ICU, has the meaning of education changed due to the current pandemic? 

 

I think the meaning of the university has not changed. We live in an exceptional environment where online education has arrived. Our focus is on how we can maximize the benefits and reduce the disadvantages that come with it. The purpose of our liberal arts education is to offer expansive intellectual grounding in all types of human inquiry. We're trying to teach students to challenge their assumptions about the world and practice critical thinking, which is essential to prepare for the future. I think that there are solid prestigious universities in Japan, and we will still attract bright students. Currently, the number of 18-year-olds are going down, and universities are challenged to recruit from a smaller pool. In that case, I think ICU is well-positioned because students want to go to campuses that afford them opportunities. ICU has been doing this for a long time. The liberal arts education at ICU prepares students for the complexity of the future in numerous ways. ICU was the head of the curve. I'm positive that these well-rounded students will be most prepared to embrace the rapid changes that will come for sure.

 

 

-Do you think entrepreneurship should be part of the liberal arts education?

 

Yes, liberal arts education challenges you to consider not only how to solve problems, but also trains you to ask which problems to solve and why. It prepares students for positions of leadership, the life of service to the nation, and humankind in general. To have an extensive liberal arts education, you have to explore issues, ideas, and methods across humanities, arts, and sciences. You have to engage in many different conversations, identify the problems around the world, and offer solutions, which is what entrepreneurship is. 

 

Therefore the definition of entrepreneurship is not just about starting up a company. Still, also it's finding an issue and solving it. 

 

 

It can be a social enterprise or a business enterprise. All businesses offer services and products that meet human needs. And the liberal arts education lets you see how things are connected. People need an education that helps them become future leaders to address significant problems around sustainability. This is how I connect entrepreneurship and education. My wish for ICU students is to be future leaders. That's why I try to promote entrepreneurship. At the ENTREP event last February, you brought a former google director and presented examples for students to see how people experience and understand this particular area of life. I believe education and business are becoming more intertwined eventually in the future. Students have to know about the challenges, innovations, and opportunities that people are taking.

 

-What skills do you think students should acquire the most?

 

Empathy. One word. It's the pervasive trait that all successful entrepreneurs and teachers have. My mother has high levels of empathy. Empathy is to question if you know what people want and need. Empathy is an essential skill, it's the ability to understand and share the feelings of another. 

 

 

You can share how you feel, show gratitude or interest in people. You can be encouraging or supportive. There's no script, and those are the skills that are the foundation of all success. If you're an entrepreneur offering a new service or product and don't know what the user needs and feels with your product or service, you will fail 100%. You need to understand what the end-user wants. People who have high levels of empathy are ones that I respect at the end of the day.

 

 

【The meaning of success】

 

-What is your definition of success?

 

I think it's living out the talents that God has given you. That's when you feel most fulfilled, and that's when people are proud of you. You see the light that you had in your life, and that might be when God is also happy with you. This idea of letting your gifts flourish, helping other people, and making the world a better place is when you're truly happy. That happiness is really trident to being successful. It's not a monetary amount of what you built. At the end of the day, you want to make a positive imprint on society. I believe that's fundamentally what success is tied into. Everything will come to pass. Success, money, what you made, it'll all come to pass. Although, what you leave behind after you leave this earth should be a strong consideration in any definition of success. There are people we still admire and think about who passed away. Mother Teresa and Steve Jobs made the world a better place because they existed in this world. That's how I would, in an indirect way, describe the quality of the color and sound of success.

 

 

-As a professor, do you think you are successful right now? 

 

No. I strive for success every day. I'm never satisfied. There's a lot more I can give and contribute. For instance, I worked together with ENTREP and hosted the first entrepreneurship conference, right. I think that was something we needed, and students had a lot of energy toward it. If you are the smartest and internationally focused, you should be the movers and shakers that make positive changes in society. Additionally, I think anyone satisfied with what they've done, stop innovating. In that sense, I'm not satisfied, and I'm always striving for the goal. 

 

The sun keeps on moving. As it goes down, you walk forward to see where it goes, and that's where I am. Life is a gift, it's fascinating. And it's not just about me. It's about helping other people, including those who are outside of not belonging, those who are excluded, and those who experience economic inequality. When you can give that to people, which is part of the reason I enjoy being a professor, I want to be part of the solution. I want my voice to be a positive one for change, and hopefully, you guys will be successful and buy me Kobe beef at a really lovely restaurant. 

"A professor cultivating future leaders" Kim Allen vol.1

 

Mr. Kim Allen is a second-generation Korean-American, born in the United States. After working at AT&T, as management in various fields, he pursued his desires and entered the field of academia. Earning his masters at UC Berkeley and Ph.D. at UC Irvine, he is currently working as an associate professor in sociology at International Christian University, Japan. 

 

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【The university life of Prof. Kim Allen】

 

-When you were a college student at UC Berkeley, what kind of activities did you engage inside or outside of class? 

 

Aside from participating in a religious organization, I did an internship for the attorney's office. I worked under a prosecutor and went to San Francisco to go into court. It was a helpful experience for me because I thought of going to graduate school or law school. 

 

Thinking back, I think I would also have joined more clubs and participated in a lot more professional conferences. Mostly, because the bay area was very rich in terms of networking. Finding good mentors in a lot of different fields, too, would have opened up other opportunities as well. 

 

-You currently have a Ph.D. in sociology, but back then, you were a law major?

 

Correct, I actually never took a sociology class until I went to graduate school. I was a double major in ethics studies and East Asian studies. I took other various courses, but yes, I was pre-law and thought of attending graduate school. However, eventually, I shifted directions, and maybe that was actually better for me in the long run.

 

I was in school, and Silicon Valley was hot, and employment was great at that time. There, I came across this full-time job opportunity that focused on leadership development and chose to work at AT&T. It was an excellent opportunity for me to develop and grow as a person. In terms of management skills, that career path took me to a lot of different areas. 

 

【 From corporate to academia.】

 

-Aiming to pursue law while in school, what was the process of you deciding to start working for AT&T after graduation?

 

That's a good question. My parents owned a restaurant in San Francisco, which was across from an installation repair garage for AT&T. There would always be workers and managers from AT&T, and I'd take the opportunity to talk to them. Later on, when they were hiring at our campus, I took the opportunity to collect their cards and learned more about their company. On the day of my interview, they were surprised that I knew the managers at AT&T, and it was all because I took the opportunity to chat with them. That's what happened. Economically, things weren't going well at the time, but at the end of the day, I had to do well in the interview. I had to have promising management skills; otherwise, they wouldn’t have hired me.

 

Overall, I think you get luckier when you get curious, having the initiative to take action. It might have been luck, but I think we can create more lucky chances and opportunities. That's what I would say about opportunities.

 

- Working for a large company, what made you suddenly decide to pursue the path as a teacher?

 

After working, I took a year's leave of absence. I did a teaching assistantship in South Korea that gave me the energy and excitement to meet other teachers who are like me. Then I applied for graduate school while I was in Korea, teaching middle school students English. Luckily, I got into a graduate program in sociology. 

 

Actually, reflecting even further, when I was a college student, I had no ambition, confidence, or interest in becoming a professor. I met too many amazing professors, and I thought it was utterly out of my reach; that I was intellectually incapable.

 

It just never crossed my mind until when I went to office hours with one of my friends. Her name was Linda, and she was a star student in the course. We would always go to office hours together to go chat with the Asian-American studies professor. He knew that she was the smartest, so while we were sitting in his office, he said, "After you graduate and get your Ph.D., you can be a professor and teach." I felt like he was talking to both of us, so when I heard him say that, for the first time, the idea of becoming a professor suddenly came into my mind. He implanted a seed in my belief system. I still remember that conversation, which was so encouraging and inspiring. When I was looking outside the window while working at AT&T, I thought, “What am I doing here?” so I applied for graduate school when I took that leave of absence. That conversation was life-changing, because then, I quit my job and moved on to becoming a graduate student. 

 

-While doing the Ph.D. program, do you have any hardships or setbacks?

 

I suffered sometimes, and there were times when I really hated graduate school. It got so bad that after my master's program, I actually applied for jobs in management at Target. I asked myself, “Why did I leave a job that pays me a yearly salary that had two weeks of vacation?”. Thankfully I got rejected from Target, but that's how bad it was. Frankly, I didn't have any family members who were professors or went to graduate school, in neither of my families. I didn't have that network or people who could give me solid advice about graduate school. Being the only one, it was a cognitive shift to go to graduate school too, and I wanted to go back to what was comfortable. 

 

Those were the challenges, self-doubt, and wondering if I made the right decision. Still, I would say that after my several extended years in graduate school, I realized how my vocabulary had changed. I think that the power of education is that your vocabulary increases drastically.

 

After a while, through talking, testing, and discussing your language changes, and I felt that was very empowering. I could enter a conversation with various interesting people, which might be the unintended positive consequences of attending graduate school.  

 

【Taking a leap from your comfort zone】

 

- Looking back, are there any essential skills you're glad you acquired during college?

 

I didn't know it at the time, but looking back, I feel I always challenged my comfort zone. I was still a person who felt comfortable in being uncomfortable.

 

It's about being who you are. Being curious, learning from people no matter their background, and having an attitude to meet good people. It forces you to elevate your game, imagine outside possibilities, and seek advice from mentors. I think those are things that can help students imagine broader possibilities for their future.

  

- Do you have any episodes when you challenged your comfort zone?

 

Yes, I can think of various examples in many ways. The status of an immigrant life has never been comfortable. My parents came as immigrants in 1972 and could barely speak English and had to start from the beginning. My father washed dishes on the military base, and my mother had nurse qualifications but couldn't be a nurse in the US. They had to look towards entrepreneurship to survive. They made sandwiches and prepared food to survive. 

 

When you're constantly facing challenges, you develop grit and an attitude of resilience that helps you in almost all areas. It's a disadvantage being an immigrant, but those challenges help people deal with future challenges and can be a blessing at some level. 

 

-Do you have any particular episodes on how it was beneficial to know people and expand your network?

 

Sure, let me choose three people.

 

Growing up, I knew a Jesuit priest, and he was very influential in terms of my formation and my values. I remember he told me that he quoted Saint Francis and said, "For it is in giving that you receive." You feel most alive when you give, help others, and live out the gifts that God has given you. I realized that in many cases throughout my life, that's always been the case. When you give, you receive far more. It's not often something you learn in the corporate world and in the corporate setting. Still, I think it's a fundamental spiritual law that pervades society. 

 

The second person was a business major student who was going to be working as a salesperson for Eli Lilly, a pharmaceutical company. I met him at the library, and I was talking to him about what he does. At the time, he gave me solid advice about how to look impressive in an interview and how to close the deal. And that conversation opened my eyes to how smart and strategic you have to be to convince other people to hire you. I forgot his name, but sometimes these random conversations you have with people, when you're interested and curious, you can gain essential and helpful information. 

 

The third person would be my mom. She, in many ways, is the role model of an entrepreneur for me. People think entrepreneurship in terms of Elon Musk, Steve Jobs, and the really crazy people, and that you have to be mad to be at their level. Yet, in my own personal network, my mother never got a college degree. Still, she has so much common sense, and she was doing entrepreneurship when it was not popular. Nowadays, people think entrepreneurship as if it's a new thing, but it's been there for a while already. People did it for survival, and my mother's story in many ways, for me, is compelling. 

 

Through knowing people, we learn new values and norms, and their resources become your own resources. Moreover, sociological research shows that when you have a group of people or an organization where everyone's very similar, the group becomes inward-looking. However, when you introduce diversity, the group shifts to a more outward-looking manner. That is the power of diversity in hiring. One of the things I try to encourage my students to do is adapt and adjust while society rapidly changes. 

- Do you think there are any specific steps you need to take to build confidence so that people can gain autonomy and take action? 

I came across this quote by William Arthur that said, "Believe while others are doubting. Plan while others are playing. Study, while others are sleeping. Decide while others are delaying. And prepare while others are daydreaming". When I read those five, I thought it was completely spot on. Instead of having confidence or the right emotional state, those ideas about believing, planning, studying, deciding, and preparing are things you can take action on. To move 1% towards the vision that you see for your own life. 

 

Those five things that I mentioned earlier about the ingredients of success are the qualities and habits you want to incorporate into your own life. Seeking the exact job wouldn't be critical because frankly, in three years, most students will move to another job. With that said, students should try to gain two skills. Only having a single trick puts you at risk of losing your job. And we see that today. However, if you have two or three skills or expertise, it's harder to fire you. You become more valuable to a company or corporation. And unfortunately, we don't teach and tell students this. But that's the reality. Finding mentors in life is vital, as well. 

 

 

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